【フルート】楽器上達の鍵は「睡眠」にあり?いくら練習しても弾けない時の意外な解決策

【はじめに】「いくら練習しても弾けない…」それは睡眠不足のせいかもしれません

睡眠不足でフルートの練習が捗らない女性の様子

「睡眠」というテーマを選んだ理由

みなさんは、楽器を始めたてのときや練習中に、こんなふうに思ったことはありませんか。
「一生懸命やっているのに、指が覚えられない…」
「何度練習してもこの連符を乗り越えられない…」

楽器を初めてやる人は、初めてのことばかりで覚えることも多く、できないと感じる場面が多いかもしれません。経験者の方も、運指が難しい箇所や、できないわけではないけれどいつも難しく感じる箇所があるのではないでしょうか。

そんなとき、「楽器を初めてやるから、まだまだできないんだな」「趣味でやっているから、上達が遅いのかも」と思ってしまうかもしれません。もちろん、いろいろな要因が重なって、できないことや苦手なことが生まれるとは思います。
しかし私は、できない・わからないことがあるのは、始めたばかりだから、専門的に学んでこなかったから、という理由ではないと思っています。

現代人にありがちな睡眠不足は、健康面や精神面など、日常生活のさまざまなことに悪影響を及ぼします。この睡眠不足が(もちろんそれだけではありませんが)、できない・わからないことが生まれる大きな原因の一つであると、私は考えています。

私は夜にきちんと寝ないせいでよく睡眠不足になり、体調を崩したり、頭が働かなかったり、イライラしてしまったりしてきました。寝たいのに寝付けないことも多くありました。楽器を練習しようにも頭がぼーっとしてしまい(こんな状態で練習しても、あまり意味がありません)、睡眠不足のせいで合奏中に片頭痛になり、この世の終わりかと思うほど体調が悪くなったこともあります。そんなとき、このままではいけないと思い、睡眠や健康に興味を持ちました。

とにかく睡眠について学び始めてみて、独学ではありますが、何をやるにも、まず「生きる」という段階で睡眠がとても重要だと再認識できました。そして学んだとおりにきちんと睡眠をとったところ、楽器の上達に関しても素晴らしい体験をしました。そんな私が、特にみなさんに共有したいと思ったことを、ここに記していきます。

【実体験①】一晩ぐっすり眠るだけ!演奏が上手くなりたくて、睡眠をとった

専門学生のとき、連符を練習してもなかなかできるようにならず、ドツボにハマって、どうにもできなくなってしまったことがありました。そこで、学んだ「睡眠をきちんととると、次の日にはできるようになっている」ということを、自分自身で証明してみようと考えました。

その日は練習をやめ、いつもより早めに、スマホもいじらずに寝ました。次の日に練習してみると、前日にどうしようもなくなっていた連符が、嘘みたいにできるようになっていたのです。みなさんも、騙されたと思ってやってみてください。

【実体験②】徹夜の練習は逆効果!?健康こそが上達への一番の近道

夜にやりたいことが多く、どんどん増えていき、夜のほうが集中できる気がして、何とも思わずに夜更かしを普通にしていました。専門学生のとき、一刻も早く楽器が上手くなりたくて、音を出さずに指だけを動かしたり、楽譜を見たりすることを、夜遅くまで、ときには徹夜でしたことがあります。

結果、何にもなりませんでした。何かができるようになったわけでも、授業などで結果を残せたわけでもありません。結局、授業では体調を崩すことが多くなり、それでも言い出せず、地獄のような時間を過ごしたこともありました。

本当に、睡眠は大切だと思いました。楽器をやるにも何をするにも、健康であることが一番大事です。

【睡眠のすごい効果】寝ている間に脳は「記憶の整理」をしている!

寝ている間に脳内で「手続き記憶」が整理され、定着していく様子

睡眠は一般的に「休息の時間」と捉えられがちですが、実は眠っている間も脳は活動していて、単なる休息とは異なる重要な役割を果たしています。

ストレスや不安が軽減され、感情が調整されることで、精神的な安定が保たれます。神経細胞の修復や不要な情報の削除といったメンテナンス作業も行われます。また、脳内で情報が整理されることで長期的な記憶が確立され、学習した内容が整理・保存されて、後から思い出せるようになります。十分な睡眠をとると脳が適切に機能し、判断力も向上します。

血糖値やホルモンバランスが整い、体内のエネルギーが効率的に使われます。免疫機能が活性化して、病気や感染症に対する抵抗力も上がります。さらに、成長ホルモンの分泌が増え、肌のターンオーバーや脂肪の代謝が促進されます。身体の各部位の細胞が修復され、疲労も軽減されます。

徹夜をしたときの脳のパフォーマンスは、ビールの中瓶3本を飲んだときと同程度まで下がります。また、1日4時間の睡眠を6日間ほど続けると、完全に徹夜したときと同じくらいまで効率が下がります。良質な睡眠をとるとアイデアが浮かびやすくなり、例えば試験問題の出題意図も正しく理解できるようになります。逆に、睡眠不足でストレスが蓄積すると、学習意欲やモチベーションが低下し、成績が下がってしまう可能性があります。一夜漬けは効果がありません。

手続き記憶は、一度覚えればなかなか忘れることはありません。例えば楽器を何度も繰り返し練習すると、ある程度までは上達しますが、一定のレベルに達すると停滞してしまいます。しかしその後、十分な睡眠をとると、演奏力が上がっていることに気づくでしょう。身体の記憶も、睡眠をとることでしっかり定着します。

【記憶の仕組み】楽器上達に欠かせない「手続き記憶」を定着させよう

記憶には種類があります。

短期記憶

脳内に数分~数時間とどまる短い記憶です。電話で聞いた内容をメモするまでの記憶などがこれにあたります。

長期記憶

一般に「記憶」と呼ばれる、数時間から数年、または生涯忘れられない記憶です。

陳述記憶

知識など、頭で覚えるものです。エピソード記憶、イベント記憶などがあります。

手続き記憶

自転車の乗り方、楽器演奏の技能など、いわゆる身体で覚えるものです。

睡眠の不足や乱れは、生活習慣病、循環器疾患、うつ、認知症など、あらゆる疾患を引き起こすリスクを高めます。睡眠には、脳や身体の疲れを取り除くだけでなく、身体の成長や傷ついた細胞の修復といった重要な役割があります。さらに、睡眠不足は免疫力にも影響を及ぼします。もし体内にウイルスが侵入しても、免疫力が働いていれば、感染する前に排除できます。

【今日からできる!】睡眠の質を高めるための具体的な7つのコツ

就寝前に温かいハーブティーを飲んでリラックスしている女性

① 光・音・温度

睡眠の質に関わる主な要因は、光、音、温度の3つです。夜は間接照明で薄暗くしておき、眠るときは完全に真っ暗にするのが望ましいです。なるべく静かな場所で、快適な温度と湿度を朝まで保つことも大切です。

② カフェイン

カフェインの覚醒作用は、効果が半減するまでに2~8時間ほどかかります。摂取しても眠れる人はいますが、眠りが浅くなり、利尿作用もあるため、睡眠の質が下がってしまいます。午後6時以降は摂らないほうがよいでしょう。

③ 食事

お腹が空くと血糖値が下がり、神経細胞が刺激されて覚醒物質が作られます。人間も動物である以上、空腹になれば食べ物を調達しに出なければならないため、身体は目覚める方向に働いてしまうのです。理想は、就寝の4時間前までに適量を食べることです。夕食は野菜を多めにして、よく噛んで食べましょう。

④ 運動

運動で体温が上がり、その後に興奮が収まって体温が下がると、眠気がやってきます。運動は寝る時間の90分ほど前までに済ませましょう。ただし、激しい運動は交感神経を刺激して寝つきを悪くする可能性があるため、就寝前に行うならストレッチ程度がよいでしょう。

⑤ スマホ

就寝前のスマホはよくないとよく言われますが、現在のスマホは自動的に画面が暗く、光が黄色くなるようにできていて、サイズも小さいため、あまり気にする必要はありません。ただし、SNSやゲームなどの双方向のものは脳を刺激して眠りを妨げるので、必ず避けましょう。

⑥ 眠れないとき

眠れないのにそのまま布団にいると、脳がそこを「眠れない場所」と認識してしまいます。また、「眠らなくては」というプレッシャーが緊張を招き、交感神経が活性化して、余計に眠れなくなります。眠れないときは頑張らず、場所を変えてリラックスし、眠くなってから寝室へ戻りましょう。

⑦ 仮眠

昼間にどうしても眠いときは、仮眠をとりましょう。仮眠の直前にカフェインをとるのもよいでしょう。ポイントは次の3つです。
・午後2時までにとる
・首や身体を完全に脱力できる姿勢をとる
・20分程度で終える(それ以上眠ると目覚めにくくなります)


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フルート科講師の佐々木愛育先生フルート科講師の佐々木愛育先生

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