
【はじめに】「私は音痴なんです」——レッスンで本当によく聞くお悩み
「音痴なんです」
とおっしゃる生徒さんはとても多いです。
でも実際にレッスンを始めてみると、本当に音痴というケースはほとんどありません。
むしろ、
• 音が聞き取れていない
• 声をコントロールできていない
• 自分を過小評価している
など、別の原因が隠れていることがとても多いのです。
【基礎知識】そもそも医学的な「音痴(先天性失音楽症)」とは?
医学的に音の高さやリズムの聞き分け・記憶が困難で音楽を正しく認識・再現できない方は存在します。
これは『先天性失音楽症』という脳の障害で、トレーニングだけでは改善が困難とされています。
ただし、該当される方はごく一部です。
【原因①】 音をうまく認識できていない(インプットの問題)
トレーニングで改善可能な場合、
• ピアノでシンプルな音階やメロディに合わせて歌う
• カラオケなどで自分の歌以外の音を聴きながら歌う
などの練習方法があります。
他パートのどの音、どのリズム、どの箇所に着目するかもポイントのひとつですが、自分が歌うことに集中しすぎて、伴奏やピアノの音を聴く余裕がなくなっているケースもあります。
様々な角度からインプット側の感覚を鍛えていくことで改善が可能です。
【原因②】 声のコントロールが難しい(アウトプットの問題)

発声のコントロールがうまくいっていない場合は呼吸や発声練習を行っていきます。運動と同じで、こちらはアウトプット側のトレーニングになります。
一例として、自分が普段話している音域より高い音を出す際の身体の感覚がイメージできていない方、特に男性によくみられます。
このようなケースでは、ピアノなどと一緒に普段の話し声の音域から順を追って上げていくと自分で思っているより高い声がすぐに出せることも多いです。
歌で使われる音域は、多くの場合、普段の話し声よりかなり高い位置にあります。
普段あまり使うことのない、高い音域を出す際の身体の感覚を知ることが第一歩です。
【原因③】 自分を過小評価している(心理的フィルターの問題)
3つ目の原因として、私は
『自分だけにかかる過小評価フィルター』
があると思っています。
レッスンをしていると、実際には大きく外していないのに「自分は音痴だ」と思い込んでいる方が意外と多くいらっしゃいます。
特に真面目な方ほど、自分の良かった部分より失敗した部分に意識が向きやすい傾向があります。
例えば
• 昔誰かに言われた
• カラオケで笑われた
• 一度うまく歌えなかった
などの経験がある方について、
• たまたま声をうまく響かせられていなかった
• 自分の音域や声質に合わない曲を選んでいた
• 単に聴いていた方の好みではなかった
など、実際は音程の問題ではなかった、ということもよくあります。
また、自分の声は骨伝導で聴こえており、自分以外の人が聴いている声とは違います。
歌の練習の際には録音をおすすめしておりますが、それまで録音して聴く習慣がなかった場合、慣れるまで違和感を覚える方が多いです。
私も経験があるのですが、自分が1番自分の声を好きになれない、という状態に陥りがちで、これも正常な判断がしにくくなってしまうケースのひとつかと思います。
最初は「自分の声を聴くのが苦手」とおっしゃっていても、客観的に聴いていくと自分が思っていたほど悪くないと思えるようになることがほとんどです。
【おわりに】「音痴だから」と諦める前に、自分の声と向き合ってみませんか

レッスンで初めてお会いしたときに「私は音痴なんです」とおっしゃっていた方が、数ヶ月後には楽しそうに歌っている姿を見せてくださることも少なくありません。
音程が取れない原因は人それぞれですが、多くの場合は「生まれつきだから仕方ない」で終わるものではありません。
音程についてのお悩みがある方には、初回レッスン時に
• 音を聴き取ることが難しいのか
• 発声のコントロールの問題なのか
• それとも思い込みなのか
を簡単な発声や耳のトレーニングを通して確認していきます。
そして、音程だけでなく、
• 声質
• リズム感
• 表現力
など、歌にはさまざまな要素があります。
音程だけに意識が向きすぎると、本来持っている良さを見落としてしまうこともあります。
もし歌うことが好きなのに、「音痴だから」と諦めかけているのであれば、一度ご自身の声と向き合ってみてください。
思っているよりもずっと可能性があるかもしれません。
「自分は音痴だ」という思い込みを外して、あなたの本当の声に出会ってみませんか?


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