【はじめに】 “ミックス(ミキシング)”とは何をする工程?

初心者DTMerがある程度曲作りができるようになってくると次にぶつかるであろう壁が「ミックス」です。
DTMを初めると必ず耳にするミックスですが、何が行われているのかぼんやりとしか分からないという方も多いかと思います。
ここでは初心者~中級者向けに、実践的な内容も交えつつミキシングの大まかな流れを解説します。
簡単にまとめると、ドラムやベース、ギター、ボーカルなど録音・打ち込みしたトラック達を整理して1つの楽曲として聴きやすく整える工程です。
音量はもちろん、音色・定位(パン)・空間・バランスを調整し、楽曲として成立させることが目的です。
CDやストリーミングサービス、動画サイト上のMVなど日常的に耳にする音楽はほぼすべてミックスの工程を経てリリースされています。
ミックスには決まった正解はなく人によって差異がありますが、基本的な流れを理解しておく事でどんな楽曲にも応用できます。
1. 音量調整(ゲインステージングとフェーダーバランス)
音量の調整は最も基本的かつ最も重要なミキシングの作業です。
音量調整にもいくつか段階があり、ミックスの前準備としてまず行うのが”ゲインステージング”です。
ゲインステージングとは各トラックが適切な音量でイコライザーやコンプレッサーで処理できるように行う工程です。
このゲインステージングが行われないと、コンプレッサー等のかかり具合に影響が出るほか、ノイズ等の原因になったり、ミックス後に行われるマスタリングの工程で迫力が出なかったりなど
後々の作業のクオリティアップに関わります。
ゲインステージングでは各トラック毎にVUメーターと呼ばれる種類のプラグインを用いて、フェーダーは触らずに各インストゥルメントのプラグインにあるマスターボリュームやオーディオファイルのゲインや音量操作で調整します。
(フェーダー操作はイコライザーやコンプレッサー等の処理後の音量が変化するため)

VUメーター上で最大0dBVU前後になるように調整します。
ちなみにドラムなど瞬間的に大きくなるトラックの場合はDAWのノーマライズ機能を用いて調整します。(目安は-6dBFS)
ゲインステージングが完了したら、次はフェーダーバランスの調整です。
プラグインは一切使わず、まずはフェーダーだけで楽曲のバランスを整えます。

ここで重要なのは主役のパート(ボーカル、ギターソロetc)を意識することです。
主役のパートを立たせつつも飛び出しすぎない程度のバランスを目指します。
音量は上げるよりも下げる方向で調整していくことがコツです。
難しい場合はバランスの目安に自分の好きなアーティストの音源を参考にするのも〇
フェーダーバランスは以降の作業中にも適宜調整していきましょう。
2. パンニング(定位)で音の配置を決める
次に行うのがパンニングです。”定位”と呼ばれることもあります。
音を左右どこに配置するか決める工程です。
パンニングの定番として、
キックやベース、ボーカルや各楽器のソロは中央に、ギターは左右に配置されます。
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ピアノやシンセサイザーなどは
ステレオ感を操作できるプラグインを用いて広がり方を調整します。

中央には低域を担うトラックや主役となるパートを置き、
それ以外を左右に振ることで、音の分離が良くなり主役となるパートを引き立たせやすくなります。
3. イコライジング(EQ)で帯域を整理する
音量調整ができれば次に行うのはEQ(イコライジング)です。
イコライザーのプラグインを用いて特定周波数を削ったり持ち上げたりする処理です。
EQの基本はまず「引き算」です。
各トラックで耳に痛い帯域や音がこもる原因となる帯域を削ったり、
トラック同士で被ってしまう帯域を整理します。

良く行われるのは、ボーカルの「さしすせそ」の発音やギターの高域など耳に痛い帯域を削ったり、
ベースとキックの互いに被っている低域の整理があります。
※ボーカルの場合、「さしすせそ」の発音を整える事に特化した「ディエッサー」という種類のEQもあります。
他にもボーカルが埋もれる場合、単純にボーカルを上げるのではなく、被りが起きやすい他の楽器の2〜5kHzを少し削ることで自然に前へ出すことができます。
また、トラック数が多くなってくる場合は不要な低域をカットすることでサウンドをスッキリさせたり、マスタリング時に音圧を稼ぎやすくすることができます。

EQは次に行うコンプレッサーの処理後に持ち上がってしまう帯域の整理のために再度使用することもあるほか、
後述のリバーブやディレイの空間系エフェクト自体に用いることもあります。
4. コンプレッサーで音量のバラつきを抑える
コンプレッサーは、音量のバラつきを抑える処理です。
「compress = 圧縮する」の名前の通り音を圧縮することでトラック内の音量差を抑えます。
DTM初心者にとっては最も難しい処理の1つですが、役割を理解すると非常に便利です。
例えばボーカルなどで、一瞬声量が大きくなってしまっているトラックに対して用いることで
全体を均一に聴かせられます。

コンプレッサーには主に4つのパラメーターがあります。

Threshold:どこから圧縮するか
Ratio:どれくらい圧縮するか
Attack:コンプレッサーがかかる速さ
Release:戻る速さ
これらをトラックに合わせて適宜調整していきます。
聴覚上では違いが分かりにくいですが、まずはRatioを2:1〜4:1で軽めにかけるくらいから始めると自然です。
5. リバーブ&ディレイで空間を演出する
ミックスでは「空間演出」も非常に重要な要素です。
ここでは空間系エフェクトと呼ばれるリバーブとディレイが使われます。
空間系エフェクトはギターやシンセの音作りの段階でも用いられますが、ミックスでは主に各トラックの遠近感を作ったりトラック同士のサウンドを馴染ませる他、存在感を持たせるためにも用いられます。
リバーブは残響を加えるエフェクトです。
深くかけることで遠くに、浅くかけることで相対的に近くにあるように聴かせられます。

空間系エフェクトに関しては同じ種類のものを複数のトラックに適応させることが多いため、エフェクト用のトラックを作成し各トラックからセンド(送る)させます。
このセンドする具合によってエフェクトのかかり具合を調整できます。

ディレイはやまびこのような残響を加えるエフェクトです。
楽曲に奥行きやリズム感を加えられる他、ごく短いディレイをかけることで存在感を付加させるという裏技もあります。

6. オートメーションやトラック分けで動きを付ける
一つの楽曲内で各パートにかかるエフェクトや音量には常に動きがあります。
例えば、サビでボーカルを少し上げる、Aメロでリバーブを減らす、盛り上がりでディレイを増やす…etc
そこで用いられるのがオートメーションです。
オートメーションを書き込むことで自動的に音量やエフェクトを増減させることが可能です。

また、オートメーションを書き込むのが苦手な人の場合は、音量やエフェクトが変わる部分だけ別のトラックに分けて処理を行うというパターンもあります。
7. マスター処理前の確認
ミックス完成前には必ず確認を行いましょう。
音割れしていないか、バランスは適切か、エフェクトのかけ忘れがないか等々。
特に重要なのが「複数の環境で聴く」ことです。
ヘッドホン、モニタースピーカー。イヤホン、スマホなどそれぞれで聴こえ方は変わってきます。
どれで聴いても違和感が無いようにミックスを見直していきましょう。
【上達のコツ】 音楽をたくさん聴き、完成形をイメージする

ここまで大まかにミックスの流れをまとめましたが、ミキシングの上達に最も必要なのは「音楽をたくさん聴くこと」です。
初めに言った通り、世に出ている音楽はほぼすべてミックスの工程を経てリリースされています。
たくさんの音源を聞いてミックスの完成形をイメージできるようになることが上達への第一歩です。
ただ聴くだけでなくどのようなバランスになっているか、音の配置・遠近感はどうなっているか意識しながら聴くと効果的です。
独学のミックスに行き詰まったら、プロの視点を取り入れてみませんか?


今回はミックスの大まかな流れを解説しましたが、いかがでしたか?
「EQでどこを削ればいいのか耳で判断できない」
「コンプの設定が合っているのか自信がない」
「どうしても市販のCDのような迫力が出ない」
もしあなたがそんな壁にぶつかっているなら、ぜひ一度、三好功祐先生のDTMレッスンにお越しください!
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ミックスは、ほんの少しのコツを知るだけで楽曲のクオリティが劇的に変わる、とても奥深く楽しい工程です。一緒にワンランク上のミキシングを目指しましょう!
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