
【はじめに】 個性が求められるジャズサックス。音作りの鍵は「マウスピース」
サックスにおけるマウスピースは音作りにおいて最も重要なパーツの一つです。
アンサンブル重視で個々のサウンドの個性を強く求めないクラシックや吹奏楽ではその選択肢は少ないですが、より個性を求められるジャズではたくさんのマウスピースメーカーがあります。これからジャズをはじめる方にとってより良いマウスピース選びの参考になるよう重要なマウスピースメーカーを解説します。
【1. Otto Link】 テナーサックスの王道!ウォームで深くジャズらしい雑味のある音色
Otto Link はジャズサックス、とりわけテナーサックスにおいて最も定番の老舗マウスピースです。

主にバランスの良い”Super Tone Master”、よりダークでふくよかな”New Yorkモデル”、フロリダ期のヴィンテージモデルを再現した”フロリダモデル”など様々なモデルがありますが、共通してウォームで太く深いジャズらしい雑味を含んだ音色が特徴です。メタル/ハードラバー両方でラインナップがあり、伝説的プレイヤーのJohn Coltraneやボサノヴァとジャズの融合で知られるStan Getzなどをはじめ、現代でもJoshua RedmanやChris Potterなど多くの名プレイヤーに使用されています。
数十万円以上の高額で取引されるヴィンテージ品に対して現行品は2~6万円前後と手に入れやすい価格ではありますが、個体差が大きく精度にはばらつきがあるため注意が必要です。
王道のテナーサウンドを求める方におススメです。
【2. Meyer】 アルトサックスの定番!太く抜けの良いサウンドで幅広いジャンルに
Otto Linkがテナーサックスの定番だとするとアルトサックスでの定番がMeyerです。

太く抜けの良いサウンドが特徴で、往年のストレートアヘッドなジャズはもちろん、フュージョン・ファンクといったキレのあるサウンドにも対応できます。
ビバップの名手であるCannonball Adderlayや同じくビバップの名手でありながらビリージョエルの「Just the Way You Are」のサックスソロでも知られるPhil Woodsが使用しているほか、スムースジャズの名曲「Just the Two of Us」で有名なGrover Washington Jr.もアルトサックスではMeyerのマウスピースを使用しています。
ラインナップとしては通常の”ハードラバー”、ニューヨーク期のヴィンテージ品を再現した”ハードラバー ニューヨークモデル”のほか、コニサーシリーズと呼ばれるハイエンドのラインナップもあります。また変わり種として、名曲「Take Five」の演奏で有名なPaul Desmondが愛用していたM.C.Gregoryをモチーフに作られた”Gモデル”もあります。
MeyerもOtto Link同様にヴィンテージ品は高値で取引されており、現行品は比較的リーズナブルですが、個体差が大きく精度にばらつきがあるため注意が必要です。
【3. Selmer】 吹奏楽からの移行にも最適。上品さとコントロール性の高さが魅力

もはや説明不要のSelmer。
クラシックや吹奏楽では大定番のSelmerですが、ジャズ向けのマウスピースも人気があります。
コントロール性が高く扱いやすいため吹奏楽からの移行にももってこいのマウスピースです。
特にSelmerの中でも代表的なのが”Soloist”です。1950年代から製造されているマウスピースでJoe Hendersonの使用で有名です。そのためヴィンテージ品は高値で取引されることもあります。
その他、ソプラノ用の”Super Session”、アルト用の”JAZZ FLOW”、比較的新しいテナー用の”JAZZ TRIBUTE”などクラシック・吹奏楽向けのマウスピースにも引けを取らないラインナップがあります。
そんなSelmerのマウスピースですが、一貫してSelmerらしい上品さと高いコントロール性が特徴です。
Otto LinkやMeyerに比べると使用者は少ないですが、全く異なるキャラクターを持っています。
【4. Dukoff】 フュージョンを象徴するキレのあるサウンド。エッジの効いたハイバッフル
ジャズ向けのマウスピースの中には特にフュージョンやポップスなどで電気楽器の大音量にも埋もれないキレのあるサウンドに特化したマウスピースがあります。Dukoffはそんなマウスピースの中でも代表的なものの一つです。

特徴はなんといってもマウスピース内のバッフルと呼ばれる箇所を高く設計された「ハイバッフル」と呼ばれる構造です。これによって息が通る空間が狭くなり空気の流れが速くなることで、立ち上がりの早いエッジの効いた明るい音色になります。
そのサウンドはかの有名なDavid SanbornやKenny G等に代表されるように一聴するだけで分かる、まさにフュージョンを象徴するサウンドになります。
非常に派手なサウンドが特徴ですが、その反面、コントロールが難しく扱いには練習が必要です。
また、ヴィンテージ品・現行品ともに個体差・精度のばらつき激しく購入時は試奏が推奨です。
【5. JodyJazz】 現代的で洗練されたフュージョンサウンド。高品質で扱いやすい新定番
これまでは歴史の長い老舗マウスピースブランドを解説してきましたが、ここからは新しいマウスピースブランドについて解説していきます。

JodyJazzは2000年に設立された比較的新しいマウスピースブランドです。
ハイバッフル構造を持つフュージョン系寄りのモデルが多く、Dukoffに比べより洗練された現代的なフュージョンサウンドが特徴です。またコントロール性も良くDukoffより扱いやすくなっています。
また、品質が非常に高く老舗ブランドに見られる個体差も小さいため選択肢に入れやすいブランドです。
フラッグシップモデルの”DV”シリーズから、ストレートアヘッドなジャズにも対応できる”HR*”、ブライトでパワーのある”Jet”シリーズなど充実したラインナップがあります。
価格は4万円前後~10万円越えと幅広く、メタルマウスピースは高価な傾向です。
【6. Theo Wanne】 今最も勢いのあるブランド。理論と設計を突き詰めた圧倒的なラインナップ
今最も勢いがあるといえるマウスピースブランドがTheo Wanneです。

理想のサウンドに向けて徹底的に理論と設計を突き詰めているブランドで、その名の通りバッフル内にサメのエラのような溝が彫られた”シャークギルバッフル”をはじめ独自の設計を持っています。
モデルのラインナップも非常に幅広く、伝統的なジャズに対応できるモデルから超攻撃的なサウンドのモデル、ヴィンテージのOtto LinkやMeyerを再現したモデルからアーティストのシグネチャーモデルまで多種多様。あらゆるジャンルに対応しています。
ストレートアヘッドなジャズ向きの”GAIA”、さらにダークで深いサウンドの”AMBIKA”、ハイバッフル構造でも太い音が特徴の”DURGA”、攻撃的サウンドの”SHIVA”をはじめ他にもたくさんのモデルがあります。
もちろん加工精度も高く個体差も小さいため安心ですが、全体的に高価格でどのモデルも10万円前後となっています。
ただ、現在は”ELEMENTS”シリーズをはじめコストパフォーマンスの高いローエンドモデルのラインナップも増えてきています。
また最近、Theo WanneがOtto LinkとMeyerを製造するJJ Babbitt社と協業することが発表されており、今後の動きにも期待です。
【7. SYOS】 自分専用を3Dプリントでカスタム!軽快に吹ける注目の次世代マウスピース
近年注目を集めているのがSYOS。
材質よりも設計を重視する思想を持ち、基本的に3Dプリントにて製造されるという異色のブランドです。

最大の強みは公式サイトで「明るさ」や「抵抗感」「パワー」「ジャンル」などの項目を指定して自分専用設計のマウスピースを作れる点。カラーリングも自由自在で赤・青・黄・緑・紫など鮮やかなカラーが選べます。
またカスタムオーダーとは別に基本となる
最もダークな”Smoky”、万能型の”Steady”、最もブライトな”Spark”の3モデルがあり、3~4万円と手ごろな価格です。
カスタム品と基本モデルに共通して、重量が軽く楽に軽快に吹ける点が特徴。
ただ、従来のマウスピースに慣れていると音の密度が小さかったり重心が軽いと感じられることもあるかもしれません。
YouTubeやSNSで活躍するChad Lefkowitz-Brown(Chad LB)をはじめ特に若い世代で人気が高まっています。
【最後に】 理想のサウンド作りの第一歩。機材選びの相談もレッスンにお任せください!
ここまで様々なマウスピースブランドを紹介してきましたが、今回取り上げたのはほんの一部で世の中にはまだまだたくさんのマウスピースがあります。それぞれ強い個性を持っていますがどれもプレイヤーのサウンド作りに大きく貢献してくれる心強いアイテムです。これからの理想のサウンド作りの参考になれば幸いです。また、実際のレッスンではこういった機材選びのアドバイスも可能です!より詳しく知りたい方はお気軽に体験レッスンへ!
あなたにぴったりのマウスピース、一緒に見つけませんか?


今回はジャズサックス向けの主要なマウスピースブランドをご紹介しましたが、気になるものはありましたか?
記事内でも触れたように、マウスピースには「個体差」という避けられないハードルがあり、初心者の方が一人で自分に合ったものを選び抜くのはなかなか難しいものです。
「ネットで買ってみたけれど、上手く音が出ない」「自分のやりたいジャンルに合っているかわからない」といったお悩みもよく耳にします。
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これからジャズサックスを始めたい方、今の音色に悩んでいる方は、ぜひ一度体験レッスンへお越しください。あなただけの最高のサウンド作りの第一歩を、一緒に踏み出しましょう!
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