声楽講師 大田原瑶先生に声楽レッスンについてお聞きしました♪

2018年、日本を代表する声楽コンクール「イタリア声楽コンコルソ」にて「ミラノ大賞」を受賞し、翌年からイタリアへ留学。現在は、イタリア国立パルマ音楽院へ通いながら、オペラ歌手として舞台出演や配信ライブを行い、オンラインレッスンの講師としても活動する大田原瑶先生。かつては「声が小さく、うまく歌えないことがコンプレックスだった」という大田原先生がどのようにして声楽の道へ進んだのか、これまでの軌跡や声楽の魅力、オペラの本場・イタリアからお届けするレッスンの特徴など、さまざまなお話をお聞きしました。

-まずは、大田原先生が声楽を始めるようになったきっかけを教えてください。

母が音楽の教員で、子どものころからクラシックには馴染みがあったんですが、私が目指したのはロック歌手。でも地声が思うように出ないことが悩みでした。そんなとき、裏声がよく出ることに気づいて、高い声を使うことで有名な「夜の女王のアリア」を試しに遊びで歌ってみたら、簡単に出るじゃん!っていう(笑)。それから歌うことがどんどん楽しくなって、高校生のとき真剣に音楽の道を目指してみようと、地元の先生のもとで声楽を習い始めました。声楽というのは、その人がもともと持っている声質が重要なんですが、私は幸運なことに日本人の中ではめずらしいタイプの声質だったようで。いわゆるオペラを歌うのに適した声だったみたいです。その後、東京音楽大学声楽演奏家コースへ進学して、卒業後は、東京藝術大学大学院でオペラを専攻しました。今年で声楽を始めて9年になります。

-お仕事として初めて舞台に立ったのは、いつ頃ですか?

大学2年生のときですね。その後、コンサートで歌ったり、年に一度オペラの公演に出演したり、コンスタントに舞台に立つ機会を頂けるようになりました。

-講師を始めたのは、いつ頃からでしょうか? 

対面レッスンは、小学校の特別授業やアマチュア合唱団の指導、個人レッスンなど、日本にいたときから始めていました。2019年秋にイタリアへ留学して以降も続けていたんですが、今年はコロナ禍で対面レッスンが難しい状況になったので、5月頃から本格的にオンラインレッスンを始めることに。オンラインだと、日本はもちろん、シンガポールやアメリカ、世界中のいろんな生徒さんと出会えるのですごく楽しいです。

-大田原先生のレッスンは、どんな言語で受けられるんですか?

お話するときは、日本語、イタリア語、それと英語を少し。歌うときは、それに加えてドイツ語、フランス語、ロシア語が入ってきますね。オペラは、イタリア語以外にもさまざまな言語の歌があるので。

-イタリアと日本では時差がありますが、レッスン時間は決まっていますか?

日本時間の17時以降、夜の時間帯で受け付けています。

-では、レッスンの進め方について教えてください。

まずは、生徒さんがどのようなレッスンを希望されているのかお話をして、方針を定めることから始めます。「イタリア語を勉強しているのでイタリアの歌にチャレンジしたい」という方や、ボイストレーニングとして息を吸うだけの練習をしたい方、趣味でオペラを歌ってみたいという方から音大受験対策をしたいという方まで、皆さんそれぞれなので、まずはヒアリングして一緒に歩んでいく道筋を立てていく感じです。場合によっては、歌わずに歌詞を読むだけ、高い声を出すためのエクササイズだけということもありますし、初心者の方から経験者の方まで、臨機応変に生徒さんに合ったレッスンをできたらいいなと思っています。

-たとえば「この曲を歌えるようになりたい」という目標がある生徒さんの場合は、どのような進め方になりますか?

簡単な発声で生徒さんの声を聞かせて頂くことからスタートします。それから、その方に合った発声の種類を見つけて、一緒に発声を続けていきます。歌うために最初に必要なことは、正しく息を吸うこと。それには体の使い方が大事なので、体のどこが使えていて、どこが使えていないのか、生徒さんが発声する姿をしっかり見ることを大切にしています。発声練習の後は、歌いたい歌を一回通して歌って頂きます。それから全体的なアドバイス、フレーズの作り方や発音、音程のことなど細かいアドバイスを交えながらトレーニングを重ねていくという流れですね。声楽において、ずっと歌っていても疲れない「健康的な声」で歌うことは大きなポイントなんですが、これは一朝一夕では難しいことなので、そこに近づけるための発声方法などもお伝えしています。

-レッスンでは、イタリア語のディクションも受けられるようですね。

イタリア語はカタカナで歌えるという説もありますが、実際はそこまで単純ではないというのが現実です。カタカナ読みで日本語っぽくなりがちなところを、ちゃんとしたイタリア語に聞こえるにはどう発音したらいいか。レッスンでは、その発音法をディクションするようにしています。それから、歌詞に出てくる一つ一つの単語の意味や、曲のストーリーも説明するようにしていますね。歌っているイタリア語と日本語の意味をつなぐ訓練は大切。それによって、自然と感情を込めて歌えるようになりますし、歌い方にバリエーションがつけられるようになるので。

-イタリア語と日本語の意味をつなぐのは、なかなか大変なことだと思いますが、大田原先生の場合はどのような訓練をされたのでしょうか?

頭の中で、フレーズごとにイタリア語と日本語を対比させて読んでみたり、伴奏を流しながらイタリア語で歌うべき部分をあえて日本語で声に出して読みあげてみたり。そうやって一つずつ続けていると、体の中でわかってきて、自然と歌に感情がのせられるようになりました。オペラは、勉強すること、習得することがたくさんありますが、感情を込めるということも一つの大事な技術。いくら声がよくても棒読みだと心に響かないので、このあたりもレッスンでお伝えしていきたいですね。

-感情を出すのが苦手という人には、クリアすべき壁でもありますね。

そこをクリアできるように、私のレッスンでは褒めることしかしません(笑)。笑いの絶えないアゲアゲのテンションで「イエーイ! いいよいいよ、その感じ!」って褒めて褒めて褒めまくる。そうすると「私ってできるじゃん!」って歌いやすいオープンな環境になっていくと思うんです。特に日本人は内気な性質なので、声が出ないと自分で勝手に思いこんでいる人が多い。大きな声を出したら迷惑かなと思って、無意識に声が小さくなりがちなんです。でも人間はみんな声を持っている。だからまずは恥ずかしさをとっぱらって、メンタルを大いに開放してあげることが大事。そうすれば、お腹が使えて、体全体が広がって、声も感情も自然と出てくる。私はそのサポートをできたらいいなと思っています。

-大田原先生のレッスンの強み、アピールポイントはどんなところにありますか?

本場イタリアでベルカント唱法の専門的なレッスンを受け続けている環境にあるので、私自身が日々アップデートできていること、そしてその学びをリアルタイムで生徒さんにお伝えできることですね。それから、イタリアで日々暮らしている私の発声を耳で聞くだけでも、何かしらいい影響があるのかなと思います。声をあてる位置を“ポジション”と呼びますが、日本語を話すときに比べてイタリア語を話すときはポジションが高く、鼻の上にあてるような感覚なんです。日本にいるとそれが制御されてしまいポジションが悪くなるんですが、イタリアでずっと暮らしているとポジションがキープされる。話す発音は歌にも出るので、それを聞いて真似して覚えることで、習得が早まるのかなと思います。あとは、私はオペラを専門としているので、歌のことだけでなく、物語の時代背景や役の感情、ドラマの中の動きなど、突っ込んだことまで分析してお伝えできるのは、アピールポイントかもしれません。

-では、大田原先生が改めて思う声楽の魅力とは? 歌を始めたことで人生にフィードバックされた良いことなどもあれば。

日本人はシャイなので、大きな声を出すという体験だけでも、気分がすっきりしてストレス発散になりますし、私自身、人見知りがなくなり性格が明るくなりました。落ち着いた心の文化が発達していくのと同時に、社交的な文化が発達していく。それが私自身に起きた良い経験だったので、皆さんにもその経験を味わって頂けたらいいなと思います。それから、声楽を続けることによって、勉強することのおもしろさ、自分の知識が増えていく喜びも感じています。声の知識、言語の知識、作曲家の知識。さまざまな知識を身につけることで、芸術的な視野が広がり、心の豊かさが養われていく感じがしていますね。

-最後に、これから声楽を始めたいという方へメッセージをお願いします。

まずは、興味を持ってくださったことからご縁が始まっていると思うので、お話だけでもレッスンで体験して頂けたら嬉しいです。声楽の道に一歩足を踏み入れたら、きっと何かいいことがある。見える景色が変わり、世界が広がっていくと思います。私が目指すのは、終わった後にハッピーな気持ちになれるレッスン。和気あいあいと、ぜひ一緒に笑って楽しく歌いましょう!

取材・文/岡部徳枝 text by Norie Okabe
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